Copilot Studioで実現する『業務を任せられるAI』とは?

Copilot Studioというと、「社内ナレッジを検索するQAエージェントを作るツール」というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。

もちろん、その認識は間違いではありません。社内規程やマニュアルを参照し、質問に回答するエージェントはCopilot Studioの代表的な活用例のひとつです。

しかし、それだけでCopilot Studioを捉えてしまうと、本来の価値を見落としてしまいます。

私たちはCopilot Studioを、「質問に答えるためのツール」ではなく、「業務をエージェントへ委任するための基盤」だと考えています。

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人に仕事を任せるために必要なこと

人に仕事を任せるとき、私たちは何を期待しているでしょうか。

業務に必要な知識を持っていること。決められた手順に従うこと。必要なシステムや道具を使えること。与えられた権限の範囲で行動すること。そして、管理者が状況を把握できること。

これらが揃っているからこそ、安心して仕事を任せることができます。

エージェントも同じです。

単に質問に答えられるだけでは、仕事を任せることはできません。業務を委任するためには、組織のルールや業務プロセスを理解し、決められた範囲で行動し、適切に管理できる必要があります。

Copilot Studioは、そのための仕組みを提供しています。

組織のルールや判断基準を理解したエージェントを作れる

例えば製造業の調達・購買業務を考えてみます。

購買担当者は、仕入先を知っているだけでは仕事になりません。

購買規程を理解し、どのような場合に相見積もりが必要なのか、どの金額から承認が必要なのか、どのような手順で発注を行うのかを理解している必要があります。

Copilot Studioでは、ナレッジソースやエージェントへの指示に加え、ビジネススキルを活用することで、エージェントに業務知識や判断基準を与えることができます。

例えば調達・購買業務であれば、「相見積もりが必要な条件」「発注時の確認事項」「購買規程に沿った判断基準」などを組み込み、自社ルールに沿った回答や支援を行わせることができます。

単に情報を検索して回答するだけではなく、「自社のやり方」に沿って仕事を進めるエージェントを構築できることが大きな違いです。

業務プロセスを組み込むことができる

知識を持っていることと、仕事ができることは同じではありません。

実際の業務には手順があります。

例えば発注申請であれば、購買ルールを確認し、必要な情報を集め、申請を作成し、承認プロセスへ回すという流れがあります。

Copilot Studioのエージェントフローを利用すると、このような業務手順をエージェントへ組み込むことができます。

例えば発注依頼を受けた際に、必要情報を確認し、不足があれば追加ヒアリングを行い、条件を満たした場合のみ申請処理へ進める、といった流れを定義できます。

エージェントは単なる相談相手ではなく、決められた業務を実行する担当者として機能できるようになります。

エージェントの仕事道具を増やすことができる

人が仕事をするときは、業務システムや各種ツールを利用します。

調達・購買業務であれば、仕入先情報を確認したり、発注情報を登録したり、関係者へ通知したりする必要があります。

Copilot Studioでは、コネクタやツール、MCPを利用して外部システムと連携できます。

例えば仕入先マスターを参照したり、基幹システムへ発注データを登録したり、Power Automateを通じて承認依頼を送信したりすることが可能です。

エージェントは会話するだけでなく、実際にシステムを利用しながら業務を進められるようになります。

仕事を任せるためには、知識だけでなく仕事道具も必要です。

Copilot Studioは、そのための基盤でもあります。

安心して任せられる仕組みを持っている

企業でAI活用を進める際、多くの場合に問われるのは「何ができるか」よりも「安心して使えるか」です。

業務に関係のないシステムへ勝手にアクセスしないか。

利用者の権限を超えた操作を行わないか。

組織のルールを守れるのか。

Copilot Studioでは、DLPポリシーやセキュリティロールなどを利用し、エージェントが利用できるシステムや操作範囲を制御できます。

例えば購買担当者には発注申請のみを許可し、管理者権限が必要な処理は実行できないようにする、といった運用も可能です。

業務委任の前提となるのは、高度な機能ではなく信頼性です。

だからこそ、企業は安心してエージェントへ仕事を任せることができます。

組織的な運用に耐えられる

もうひとつ重要なのが運用です。

業務を支えるエージェントは、一度作って終わりではありません。

業務ルールが変われば修正が必要ですし、新しい要件が出れば改善も必要になります。

その際、誰でも自由に変更できる状態では安心して業務を任せることはできません。

Copilot StudioはPower PlatformのALMの仕組みを利用できるため、開発環境で作成したエージェントをレビュー後に本番環境へリリースする運用が可能です。

また、ソリューションによる構成管理や利用状況の分析機能を活用することで、継続的な改善やガバナンスの確立にもつなげられます。

これは個人向けのAI活用ではなく、組織としてエージェントを運用するための仕組みと言えるでしょう。

Agent Builderとの違い

Microsoft 365 CopilotのAgent Builderでも、個人やチーム向けのエージェントを手軽に作成できます。

一方で、業務プロセスとの連携やシステム連携、安全性の担保、組織的な運用まで考えると、Copilot Studioの守備範囲になります。

Agent Builderが個人やチームの業務支援を得意とするのに対し、Copilot Studioは組織の業務そのものを委任するための基盤と言えるでしょう。

QAから業務委任へ

Copilot StudioでQAエージェントを作ることはできます。

しかし、それは入口に過ぎません。

本質的な価値は、組織の知識、ルール、業務プロセス、権限管理、運用管理を組み込み、エージェントへ仕事を委任できるようにすることにあります。

私たちが目指すべき姿は、AIに質問することではなく、AIへ仕事を任せることです。

Copilot Studioは、そのためのプラットフォームとして進化を続けています。

まとめ

Copilot Studioは、QAエージェントを作るためのツールとして語られることが少なくありません。

しかし本質的な価値は、組織の知識やルールを理解し、決められた業務プロセスに従い、必要なシステムを利用しながら、安全かつ管理可能な形で仕事を実行するエージェントを構築できることにあります。

これからのAI活用では、「何を質問するか」よりも「何を任せるか」が重要になります。

もしCopilot Studioの導入や活用を検討しているのであれば、まずは業務の中から、担当者が繰り返し行っている定型業務をひとつ選び、その手順や判断基準を書き出してみてください。

「どの情報を確認するのか」 「どの条件で承認が必要になるのか」 「どのような成果物を作るのか」

を整理できれば、その業務はすでにエージェントへ委任できる候補になっています。

業務を言語化すること。それが、Copilot Studioによる業務委任の第一歩です。

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