【実例付き】Dataverse for Teamsでの失敗から学ぶ!容量・権限の落とし穴とは?
はじめに
「Power Appsで業務アプリを作りたいけど、まずは小さく始めたいからとりあえずDataverse for Teamsでやってみよう」「簡単なアプリなら、Dataverse for Teamsで十分でしょ?」
そんな風に考えている方、ちょっと立ち止まってください。
Dataverse for Teamsは、Teamsライセンスさえあれば追加コストなしで使える魅力的な選択肢ですが、「手軽さ」の裏には見落としがちな制約があります。
実例に即した失敗ケースをもとに、どんな壁にぶつかり、なぜそれが起きたのか、どうすれば防げたのかを具体的に解説します。
目次
ケース①:容量制限でアプリが停止
ケース②:権限設計が想定通りに動かない
Dataverse for Teams、向いているのはこんなケース
ケース①:容量制限でアプリが停止
状況
営業部で顧客管理アプリをDataverse for Teamsで構築しました。
試運用では100件の顧客データで順調に稼働していました。
本番移行に伴い、既存で保管していたExcelの顧客情報5,000件と商談履歴15,000件と添付ファイル約1.1GBをテーブルへ一括取り込みしたところ、容量オーバーでエラー発生
原因
- 顧客情報:5,000件
- 商談履歴:15,000件
→ 1件あたり5~6KB → 約0.1~0.12GB - 環境の初期消費容量:約0.8GB
- 添付ファイル:約1.1GB
合計で2GBを超過
補足:「Dataverse for Teams環境の容量制限」
Dataverse for Teams環境では、一つの環境につき2GBまでの容量制限があります。
防止策
- データ量と添付ファイルの事前見積もり
- SharePoint連携でファイルを外出し
⇒ファイルはSharePointに格納しておいて、必要な時にアプリからアクセスできるような機能を作成すると使い勝手を悪化させずに利用できます。 - 古いデータのアーカイブ設計(Excel出力など)
⇒定期的に、古いデータはExcelで出力するなどの機能を入れることでデータの蓄積による容量の圧迫を防ぐことが可能です。
ケース②:権限設計が想定通りに動かない
状況
人事部で従業員情報管理アプリを作成しました。
部門ごとに見えるデータの範囲を制御しようとしましたが、データベース側での制御ができない状況。
原因
Dataverse for Teamsでは、Teamsの「所有者/メンバー/ゲスト」ロールに依存して権限の大枠が決められます。
フィールドレベルの制御は不可。
補足:「フィールドレベルの制御とは?」
テーブルに複数の列があり、誰がどのフィールドを見られるか・編集できるかを制御できる機能のことです。
例えば下の図のようなデータの制御が可能です。![]()
防止策
- 権限要件チェック(Teamsロールで要件を満たせるか?)
- アプリレベル制御(PowerAppsで表示/非表示を制御)
- データ分離(部門別にテーブルを分ける)
- 標準Dataverse移行(細かいセキュリティロール設定が可能)
Dataverse for Teams、向いているのはこんなケース
- データ量が少ない
- 権限がシンプル
- まずは試してみたい
迷ったら、まずはご相談ください!
Dataverse for Teamsはとても便利ですが、向いているケースとそうでないケースがあります。
「うちの業務に合っているか分からない」「将来的に移行したいけど不安」など、気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
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