業務標準化の成果物は何か。florbitalで進めるスキルベースの標準化



以前の記事では、AI活用を個人任せにせず、組織の力に変えていくためには業務標準化が重要ではないか、という話を書きました。

その後、実際に社内で業務標準化の取り組みを進めています。

ただ、取り組みを始めてみると、当初想定していたものとは少し違う方向に進み始めました。今回は、その過程で考えるようになったことを書いてみたいと思います。

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業務標準化の成果物は何なのか

業務標準化というと、マニュアルや手順書を思い浮かべる方が多いと思います。

私たちも最初は、業務プロセスを整理し、標準的な進め方を定義していこうと考えていました。

その手段として選んだのがExcelです。

人が読めることはもちろん、AIからも利用できる形にできないかと考え、業務プロセスや判断基準を定義するフォーマットを作ろうとしていました。

Excelで業務定義を試して感じた難しさ

実際にやってみると、思っていた以上に難しいことが分かりました。

まず、業務によって粒度が大きく異なります。

数ステップで説明できる業務もあれば、多くの判断や例外対応を含む業務もあります。それらを同じ表形式で整理しようとすると、どうしても無理が出てきます。

  • どこまでを一つの業務と考えるのか。
  • どの単位でプロセスを分割するのか。
  • どこまで詳細に書くべきなのか。

こうした判断も簡単ではありませんでした。

管理方法も悩ましい問題でした。

  • すべてを一つのExcelで管理するのか。
  • 業務ごとにファイルを分けるのか。
  • シートで分けるのか。
  • テンプレートはどう共有するのか。

考え始めると決めなければならないことが次々に出てきます。

さらに、人とAIの両方が読める形を目指したはずなのに、実際にはどちらにとっても少し中途半端なものになりそうな感覚もありました。

Excelが悪いわけではありません。

少なくとも、自分たちがやろうとしていた業務標準化との相性はあまり良くなかったように思います。

別の場所で進んでいたスキル定義

一方で、別の活動としてAI活用のためのスキル定義を進めていました。

AIエージェントへ業務を依頼するためには、

  • 何を目的とする業務なのか
  • どのような情報を入力として使うのか
  • 何を判断基準とするのか
  • どのような成果物を出力するのか
  • 品質をどのように確認するのか

といった内容を言語化する必要があります。

当初はAI活用のための活動だと思っていました。

しかし続けているうちに、業務標準化でやろうとしていたことと非常によく似ていることに気付きました。

業務標準化とAI活用は同じ活動かもしれない

Excelで業務定義を作ろうとしていた。

別でAI用のスキル定義を作っていた。

進めているうちに、やっていることが同じに見えてきました。

業務標準化では、業務の目的や進め方、判断基準を言語化します。

AI活用でも、AIへ業務を支援してもらうために同じような情報を整理します。

  • 業務を言語化する。
  • 判断基準を共有する。
  • 他の人が利用できるようにする。
  • 再利用できる形にする。

考えてみると、どちらも同じ方向を向いている活動です。

違うのは利用者だけです。

業務標準化では人が利用する。AI活用では人とAIが利用する。

その違いはありますが、根本的にはかなり近いものなのではないかと思うようになりました。

スキルという成果物に可能性を感じている理由

そんな中で試したのがDataverseのビジネススキルです。

実際に利用してみると、自分たちが考えていた業務標準化との相性が良いと感じました。

理由はいくつかあります。

まず、DataverseとCopilot Studioの標準機能として利用できることです。

独自の仕組みを作り込む必要がなく、Microsoftの標準機能の上で活用できます。

また、スキル定義はAI分野では比較的一般的な考え方です。

Markdown形式で記述できるため、人も読むことができますし、AI活用に関する一般的な知見も応用できます。

作成や編集もしやすく、実際の利用でも品質はかなり良い感触がありました。

特に印象的だったのは、Copilot Studioの設計が変わったことです。

以前はエージェント側へ多くの指示を書こうとしていました。

しかしスキル側へ業務知識を整理すると、エージェント側の責務をシンプルにできます。

結果として、エージェント自体も作りやすくなりました。

業務定義とAI実装が自然につながり始めた感覚があります。

もちろん、まだ答えは出ていない

とはいえ、これですべて解決したわけではありません。

業務の言語化は想像以上に難しい作業です。

すべての業務がスキル化できるとも思っていません。

  • どの粒度で定義するのか。
  • どの業務が適しているのか。
  • どこまで標準化するのか。

まだ試行錯誤の途中です。

現在はマネジメント業務、新人教育、ブログなどのコンテンツ制作をはじめ、いくつかの汎用業務でスキル化を進めています。

まずはできそうなところから試しながら、自分たちなりの型を探している段階です。

この文章も実験の一部

実はこの記事自体も、その取り組みの延長線上にあります。

ブログ記事作成用のスキルを定義し、そのスキルを利用するエージェントを活用しながら記事を作成しています。

もちろん最終的な内容や主張は人間が考えています。

ただ、記事設計や構成整理、論点の整理などはスキルを通じて支援を受けています。

  • 業務を言語化する。
  • 再利用できる形にする。
  • 人もAIも利用できるようにする。

私たちはそうした形で業務を整理できないかを試しています。

まとめ

もしAI活用を組織へ広げたいのであれば、ツール選定やエージェント開発だけでなく、業務の言語化そのものに目を向けてみるのも一つの方法かもしれません。

私たち自身もまだ試行錯誤の途中です。

ただ、業務標準化を進める中で、最近は標準化の成果物はマニュアルや手順書だけではなく、スキルという形もあり得るのではないかと考えるようになりました。

人が利用できて、AIも利用できる。

そんな形で業務を整理できれば、業務標準化とAI活用はもっと自然につながっていくのかもしれません。

これからも実践を続けながら、その可能性を検証していきたいと思います。

 

florbitalでは、Power PlatformやMicrosoft 365、Copilot関連の活用支援を行っています。ただツールを導入するだけでなく、業務整理や定着化、AIを活用しやすい業務設計まで含めて取り組んでいます。

この記事のような課題意識をお持ちでしたら、お気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 業務標準化の成果物はマニュアルや手順書だけですか?

A. いいえ。業務標準化の成果物は、マニュアルや手順書だけに限りません。業務の目的、入力情報、判断基準、手順、成果物、品質確認方法を整理した「スキル」も選択肢です。人が読み、AIエージェントも参照できる形にすることで、属人化を減らし、業務知識を再利用しやすくなります。

Q. 業務標準化にExcelを使うと、何が難しいのですか?

A. Excelは業務の一覧化や項目管理に向いていますが、判断や例外対応が多い業務では記述の粒度が揃いにくくなります。ファイルやシートの分割、更新管理にも設計が必要です。すべてを表に収めようとするのではなく、一覧管理と詳細な業務定義の役割を分ける方法が考えられます。

Q. AIエージェント向けの「スキル」とは何ですか?

A. スキルとは、特定の業務を進めるための目的、入力、手順、判断基準、出力、確認方法などをまとめた再利用可能な指示です。プログラムそのものではなく、AIエージェントが業務を理解し、進め方を選ぶための知識として機能します。人が読める形で整備すれば、教育や引き継ぎにも活用できます。

Q. DataverseのビジネススキルはCopilot Studioで使えますか?

A. はい。Dataverseのビジネススキルは、Copilot StudioのエージェントからDataverse MCPサーバーを通じて利用できます。ただし、ビジネススキルは現時点でプレビュー機能であり、管理者による環境設定や接続構成、権限の確認が必要です。スキルの指示だけでは実際の操作を実行できないため、必要なツールも用意します。

Q. スキルとAIエージェントの役割はどう分けますか?

A. スキルには個別業務の目的、ルール、手順、出力形式、品質基準を定義し、AIエージェントには依頼の受付や適切なスキルの選択、必要なツールの実行などを担わせます。こうした分離により、業務知識をエージェントごとに重複記述せずに済み、修正や再利用がしやすくなります。ただし、実際の動作はテストで確認する必要があります。

Q. どのような業務からスキル化を始めるべきですか?

A. まずは目的と成果物が明確で、一定の手順や判断基準を共有できる業務から始めるのが現実的です。例えば新人教育、ブログ記事の構成整理、定型レポート作成などが候補になります。例外が多い業務や高度な承認が必要な業務は、すべてを自動化せず、人が判断する範囲を明確にして段階的に検証します。

Q. スキル化した業務の品質はどのように確認しますか?

A. 品質確認には、代表的な業務例だけでなく、入力不足や例外条件を含むテストが必要です。期待する成果物、判断の根拠、チェック項目を事前に定義し、同じ条件で複数回試して結果を比較します。作成して終わりにせず、実務での失敗例を反映して更新し、重要な判断は人が確認する運用が有効です。

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